すべてのヒーロー大好き人間に贈る
スーツアクターの夢と現実

メインスチール「イン・ザ・ヒーロー」
©2014 Team REAL HERO 

 

監督:武 正晴
脚本:水野敬也 李 鳳宇
配給: 東映
封切: 9月6日(土)ロードショー

公式サイト: http://in-the-hero.com

ストーリー●
正義を愛し、ブルース・リーを崇拝する本城渉(唐沢寿明)は
『下落合ヒーローアクションクラブ』の社長兼スーツアクター。
この道25年の大ベテラン、といえば聞こえはいいが、
「いつかは顔の出る主役に」との思いはなかなか実現しない。
ようやく「顔を出す」悪のボス役がまわってきても、
若手新人俳優の
一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)に取られてしまう。

リョウがこの役を受けたのは、
「ベテランスーツアクターの渉に殺陣を学ばせたい」
という
マネージャー(小出恵介)の思いからであり、
リョウ自身は子ども向けのヒーロー映画などには興味がなかった。
ハリウッド映画『ラスト・ブレイド』への出演を目指しており、
オーディションのことで頭がいっぱいなのだ。

その忍者もののアクション映画『ラスト・ブレイド』から、
なんと渉に白羽の矢が!
クライマックスで繰り広げられる
ノーワイヤー、ノーCGで臨む決死の長回しシーンを

ぜひ日本の「真のアクション俳優」に、というラブコールである。
ついにやって来たこの瞬間に、渉は狂喜乱舞!
しかしその役は、
決まっていた大物俳優が危険を感じて降板した役だった。

「伝説のスーツアクター」もすでに42歳。
満身創痍で首に爆弾疾患を抱えていることを知る
元妻の凛子(和久井映見)は、心配でたまらない。


果たして渉は命を懸けて、
この一世一代のチャンスをモノにできるのだろうか?


解説と見どころ●
「スーツアクター」が夢みるのは、顔を出して演じる「アクション俳優」。
最近は、戦隊もののドラマ出身の人気俳優が増えているが、
彼らは主役として「顔を出して」演じている。
唐沢寿明は、
スーツアクター経験者から日本のトップ俳優に上り詰めた
数少ない例の一人かもしれない。

そんな唐沢だからこそ、
スーツアクターたちの日々の訓練や情熱に
リアリティがある。
アクションにもキレがあり、映画が締まる。
(下の写真の、唐沢の足の線の美しさに注目!)

「太秦ライムライト」にも出演していた松方弘樹が
ここでも顔を出すサプライズ!
やはりラストに凄まじい殺陣を見せてくれるのがうれしい。

そして、
「ものづくり」の質や精神性にこだわる
その真髄こそが、描かれている映画なのだ。

映画に関わるすべての人たちが映画を愛し、
自分たちの仕事に誇りを持って取り組んでいる。
そのことの清々しさ。
子どもたちに夢を与えるために自分ができる
最高のことをしようとしている人々に、
乾杯したい気分になる。

「蒲田行進曲」のオマージュがあちこちに。
それを見つけるのもまた、映画ファンには楽しい。

サブスチール19「イン・ザ・ヒーロー」
©2014 Team REAL HERO 
サブスチール1「イン・ザ・ヒーロー」
©2014 Team REAL HERO 
サブスチール2「イン・ザ・ヒーロー」
©2014 Team REAL HERO