仲野マリの気ままにシネマナビ online

投稿誌「Wife」に連載中の「仲野マリの気ままにシネマナビ」がWebの世界に飛び出しました!

2014年03月

3月30日、
ゲキ×シネ『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』公開を記念して、
舞台あいさつがあり、
この舞台あいさつの模様は、全国の劇場に生中継されました。

司会は中井美穂さんで、
古田新太さん、浦井健治さん、高橋由美子さん、麿赤兒さんが登壇。
三浦春馬 さんも登壇予定でしたが、高熱のため欠席でした。
 
三浦さんから、会場に足を運んだ観客と共演陣に向け、
欠席を詫びるメッセージが届いたのですが、
古田さんと高橋さんは「三浦春馬です(笑)」とあいさつし、
浦井さんは、劇中そのままのハイテンションで
「どうもシャルルです! 春馬くんじゃなくてすみません!」、
さらに麿さんも「三浦春馬ではありません」と
それぞれに欠席の三浦さんに言及し笑いを誘いました

古田「五右衛門ロック」シリーズも3作目なので、いつも通り臨んだけれど、
   麿先輩、村井(國夫)先輩がいるのは楽しみでした」
 
麿「新感線はすごいと聞いてて、かなり緊張しましたよ。
  特に古田さんは、世紀の詐欺師のような大物。尊敬していた」

古田「毎回、他人のふんどしでやってるだけです。
   今回も春馬や蒼井優、バカ王子(=浦井さん)をうまく使って(笑)。
   みんながんばり屋で、舞台ではギリギリまでファンサービスをして、
   舞台袖に下がってからハアハア言ってた」

高橋「本作で新感線参加は4作目。もう‘準劇団員’扱い。
   今回は稽古場に炊飯器を持ち込んでおにぎりを作って配ってました。
   まかないの"小さいおじさん"と呼ばれてます(笑)」
古田「酒飲むとオレよりもおじさんなんですけど(笑)。
         助かりますね、いい"おじさん"です」

浦井「本作と、1作前の「薔薇とサムライ」で
         すっかり"バカ王子"役が板についてしまい、
    その後の別の現場で池田成志さんに
         『シャルル病になってる。シャルルっぽいからやめろ』
    と本気でダメ出しされました(苦笑)」
古田「健治と(橋本)じゅんさんは困ったもので、勝手なことばかりする。
    怒っても『はいはい』と言うだけで何にも聞こえてない」
浦井「幸せでした! 新感線のファンなので」(やっぱり聞こえてない!)
古田「ここまできたら、健治には
        他のプロデュース公演でもシャルルやってもらいたい」

この日は、公開を記念し、鏡開きを敢行。
三重の酒造から取り寄せたその名も「五右衛門」という酒の入った樽を
古田さんらが掛け声に合わせて木槌で叩き、本作のヒットを祈願しました。

最後に締めのあいさつに立った古田さんは
「これからもくだらないものをいっぱい作っていきます。
 飽きるまでよろしくお願いします!」と語り、
会場は拍手に包まれました。
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〈ゲキ×シネ〉『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』は
新宿バルト9他全国公開中
(C)2014ヴィレッヂ・劇団☆新感線
配給:ヴィレッヂ/ティ・ジョイ

公式サイト: www.goemon3.com 

映画の内容や見どころはこちらからどうぞ。
 

迫力満点!「劇団☆新感線」の舞台をスクリーンで! 
ゲキ・シネ10周年記念作品第2弾は、三浦春馬のダンスと歌がうますぎてツボ

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(C)2014ヴィレッヂ・劇団☆新感線


作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
作詞:森雪之丞

配給:ヴィレッジ/テイ・ジョイ
封切:3月29日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

公式サイト: www.goemon3.com

ストーリー●
太閤秀吉が栄華を極めた時代。
天下無敵の大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は、
女盗賊・猫の目お銀(蒼井優)とともに、
春来尼(高橋由美子)が本尊として守ってきた空海ゆかりの黄金の像を盗み出す。
ところが、
盗んでみれば黄金とはまっかなウソ。
お銀は落胆するものの、
実はこの像には空海が隠した黄金のありかを示す暗号が隠されているとわかり、
一味はその「お宝」探しを始める。
一方、
頭脳明晰な若き探偵・明智心九郎(三浦春馬)は
犯罪者である五右衛門たちを追い詰めていくが、
その過程で堺の豪商・蜂ヶ屋善兵衛(村井国夫)と手を組むことになる。
ところがこの善兵衛、
日本国を売っても儲けようという腹黒商人だった!

解説とみどころ●
ゲキxシネとは、
エンターテインメント界のトップを走る《劇団☆新感線》の人気舞台を
より多くの観客に届けるべく、

「まるで映画のように楽しめる作品」として、映画館で上映するという
新しい演劇映像のスタイル。 

単なる「劇場中継」ではなく、最新のデジタルシネマの技術を用い、
臨場感を増幅させる映像表現と音響技術により、
想像以上のライブ感と興奮が味わえる。


…などという小難しいことは横へ置いて、
次から次へと繰り出される音楽とダンスとアクションに身を任せていると、
気がつけば感情のるつぼ、カタルシスに浸っている…。
それがゲキ・シネの醍醐味である。

だから、今回も
「秀吉」「堺」「南蛮」「お宝」「五右衛門」といった
キーワードさえ押さえておけば、
あとは流されるまま、舞台の渦に向って飛び込んで行けばよい。

ゲキxシネは、常に大物ゲストの参加が話題になるが、
今回レギュラーの古田新太や橋本じゅんにからむのは、
三浦春馬と蒼井優。

特に三浦の歌声の美しさにはノックアウトである。
「タウンワーク」のCMでは
「きっと本人じゃないよね」とさえ噂されたほどの美声は、ホンモノだった!
彼の声がここまで伸びがあり美しく、音程も正確だとは。
本物のミュージカル俳優である浦井健治や村井国夫、高橋由美子を
向こうに回して、まったく見劣りがしない。

ダンスも殺陣にも切れがあり、見ているだけで幸せになれる。
テレビドラマでも映画でも引っ張りだこの三浦だが、
今後はミュージカル俳優としても、ぜひ活躍してほしい。


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 (C)2014ヴィレッヂ・劇団☆新感線

監督写真グランドピアノ

このワイルドイケメンは、
映画『グランドピアノ  ~狙われた黒鍵~』エウヘニオ・ミラ監督です。
(映画公式サイトはこちら。レビューはこちらをご覧ください)

本当は、
「グランドピアノ」公開に合わせて
電話による代表インタビューが実現し、私もいくつか事前に質問を送りました。

私以外の人の質問も含め、さまざまなことを答えてくれた監督ですが、
その中で
「この作品はシネマというものに対する僕からのラブレター」
という部分について、書きたいと思います。

ダミアン・チャゼルのオリジナル脚本に惚れ込み、
できるだけ脚本に忠実に映画をつくろうとしたミラ監督。

緻密な準備によって実現した映画製作

「命を狙われながらピアノを弾き通さなきゃいけない、
心理的なスリラーの物語」が上手く観客に伝わるために、
信憑性を持たせなければいけない。
「リアルを体感してもらおうと作る、いうのがチャレンジだった」
と語るミラ監督。

最初から最後まで、本物のオーケストラが演奏したけれど、
ロケ場所はなんと、
バルセロナ、シカゴ、ラス・パルマス・デ・グランデの3か所!
一夜のコンサート会場を、
ステージ上と観客と外観と、といくつもに分けて撮って結合させたとは、
とても思えないスムースな映像です。

そのとき、彼のアタマにあったのは
往年のサスペンス映画の名監督たち。

「プリプロダクションで、
すべてのことを極め細やかにデザインしてから臨む
スタイルで行ったから、最初からゴールを明確にすることが大切だった。
責任ある映画作りと僕は言っているんだけどね。
脚本などの素材を責任持って映画にするという。
ヒッチコックやスピルバーグがそうだったように、
彼らの手にかかると元の素材を遥かに超える作品が作られていて、
本当に撮りたいものが撮れる、それが分かっている監督なんだ。
リドリー・スコットやマイケル・マンのように
素材をベースに編集などで更に何かを築きあげていくタイプもいて」

このグランドピアノに関しては、
撮影の前に編集をしようという姿勢で臨んだといいます。
撮影は8週間。
クレーンの動きからVFX、モーションコントロールをどうするかまで
すべてを入れ込んで撮影できる準備をしたそうです。
これが20年前のハリウッドだったら3~4か月必要な作品が、
現代の技術と緻密なプリプロダクションの準備があってこそできたことでした。

一番印象に残っているシーンは?
 
「エモーショナルな意味で言うと、
タブレットで“ラ・シンケッテ”を書き出す場面。
心理的に彼が犯人を上回るシーンだからね。
5年前のことがあって彼もあがってしまう、呼吸困難になってしまうんだよね。
犯人よりも一歩上手になったのに、舞台裏で舞台恐怖症に陥ってしまう
バランスが面白いんだよ」
ほかに、妻であるエマの友達に悲劇が襲いかかるシーンも
「サイレント映画の要素を含んでいてお気に入りだね」とのこと。

今までの名作をリスペクト市、かつてそれを見て感動した自分のように、
自分の映画にもこうした感動が受け継がれることを
希望して いる様子がうかがえます。

「音楽」 の要素にはこだわった

音楽家として、
キーとなる超絶技巧を凝らしたピアノ曲「ラ・シンケッテ」は、監督自身が作曲。

「作品の一部としてうまくハマるように、
そして(全体の音楽を作曲する)ビクター・レイエスが作業しやすいように、
楽曲も映画の中の出来事を支えてくれるようにしたんだ。
音楽で流れを作っているのもあるしね。
逆に音楽のない段階からセリフなどをデザインしなければならなくて、
シーンの抑揚やスピード感を測っていって、
ピアノソロからオーケストラといった流れで作っていったんだ。
先に撮ってから音楽を付け足したから、すごい複雑な作業だったんだよ」

「撮影の何か月も前に、まず音楽がどう物語を追うのか、
こういう風な楽曲が良いと地図を描いて、
ラフマニノフやチャイコフスキーの要素を持ってきて、僕がコラージュして。
その上にピアノの旋律を重ねてまとめて。
求めるダイナミックさやテンポが分かりやすいものを、
ビクターに渡して作ってもらった」
 
「ラ・シンケッテ」の作曲でこだわったのは、
「とにかくリアルに感じるようにすること」だったといいます。

「僕が何年も前に書いた曲だから、作曲という立場なんだけれど、
ラベルなどの低音なイメージで。
カタルシスを感じさせるような作りで、
最後の15小節は本当に演奏不可だよ(笑)。
スポーツだよね。
最初の1~2分は演奏できるけど、
トムが感情的に乗って行って誰にも止められない感じかな。
スナイパーの呼びかけにも応えないみたいな。
プロデューサーがその方向性を信頼してくれたのでラッキーだった」

映画監督になろうと思ったきっかけは?
 
「両親は陶芸家でヴァレンシアでアートを学んでいるときに出逢ったんだ。
いろんなアートに触れて、ピアノを3、4歳から始めた。
だから一つの言語として音楽が身に付いていたんだよ。
英語もそうなんだ。映画をたくさん観たら自然と話せるようになったんだよ。
“ジョーズ”とか“E.T.”とか“スター・ウォーズ”を観て育った僕は
80年代の産物だからね。
才能あふれる監督たちが本当にすごい作品を撮っていた時代だったね。
“バック・トゥ・ザ・フューチャー”なんて素晴らしい技を感じる作品で。
質の高い映画が世に送り出されていた時代だったから、
映画が好きになって監督を目指したんだ。
スピルバーグたちは映画に対するラブレターと呼べる作品を
たくさん作っていたんだよね。
そんな彼らに影響を及ぼしたのが名匠で、そこも興味深いよね。
テクノロジーの進歩も監督になったきっかけかもね。
それこそ今の若い子は簡単に編集をしてアップロードもできるからね。
僕らの頃のハンディカムやVHSのよりも
更に飛び込みやすくなったんじゃないかな?
僕が今19歳だったらまた違ったキャリアになってたんじゃないかな?
また監督は声を持っていなきゃいけないね。
コーエン兄弟やスピルバーグにはきちんと監督の声があるんだよね」

日本の映画について
 
「今村昌平が大好きで60、70年代の白黒映画にはすごい魅せられた。
資本主義へと移り変わる中での黒澤映画も面白いね。
スピルバーグやジョージ・ルーカスも大きな影響を受けているしね。
でも僕はまだ黒澤映画を観ていないんだ。
映画祭で20本観ても3本くらいしか面白くなかった時に、
僕にはまだ観ていない黒澤映画があるって思えるからね(笑)。
初めは気持ちをコントロールして、
静かなのに、突然感情を爆発するようなことで、
魅力的な表現に繋がるのが面白いよね」 

「映画は20世紀の真の表現」と言い切る監督。

「まだまだこれからも新しい表現ができると思う。
尺が映画の中でキャラクターの一生だったり、1日だったり、
自由自在に感じさせることができる。
まるでイリュージョンだね。そんなように人を驚かせていきたい。
そんな映画を撮っていけたら…」

スペイン出身の監督だが、
英語の作品に携わることには意志を持って臨んでいる。
「 元々全編英語の作品を撮りたかった。
アメリカンフィルムメーカーとして。
ポランスキーやバーホーベンが僕に近い存在だと思うけど、
アメリカのシネマは、概ねコスモポリタンなんだ。
80年代のような映画を撮れないにせよ、いつか撮りたいんだ。
スペインの作家たちも
僕らの世代から世界を意識している人たちが増えている気がする」

そんな監督がめざす、今後の作品は?
 
「もうイライジャと次の企画の話をしていて、
30年代のニューヨークのアドベンチャーなんだ。
お互い乗り気で、これ以上は言えないけど、実現するといいな。
自分の企画や制作をどんどんやっていきたいね。そのときは、
監督をするときとはまた違った表現法をしていきたいね。
“ゼロ・グラビティ”のようなデザイン性が求められるような。
僕の中ではミスティックホラーと呼んでいる“2001年宇宙の旅”みたいなね。
ジャンルを新しく開拓するような。
秘密結社やタイムトラベルを精神的な面から探るのにも興味がある。
文化人や作家本人に焦点を当てたりとか。
そして、他の人の映画作りも助けていけたらと思っているよ」

*配給:ショウゲート

諧謔と欲望の「キー」を突き止めるのは誰だ?


グランドピアノ1

(c)NOSTROMO PICTURES SL / NOSTROMO CANARIAS 1 AIE / TELEFONICA PRODUCCIONES SLU / ANTENA3 FILMS SLU 2013
 
監督:エウヘニオ・ミラ

配給:ショウゲート

封切:3月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー

公式サイト: http://grandpiano-movie.jp/

ストーリー●
トム・セルズニック(イライジャ・ウッド)は
5年ぶりのコンサートに向っていた。
有名女優の美人妻・エマ(ケリー・ビシェ)も、
この日の復活を待ち望んでいた。
コンサートは、
トムの師匠であり鬼才と呼ばれたパトリックの追悼のためのもので、
用意されたグランドピアノはパトリックの遺品。
通常より黒鍵が多い特殊な代物である。
かつてパトリックに並ぶ天才と言われながらこのピアノを弾いて失敗し、
それ以来ステージ恐怖症になったトム。
もう一度失敗したら、もう後がない。
そんな状況で、彼は意を決して弾きはじめる。
が、演奏が進み楽譜をめくると、そこにはありえない走り書きが!
「一音でも間違えたら、お前を殺す!」
「助けを読んだら眉間を撃ち抜く!」
恐ろしい緊張の中で1曲弾き終えたトムに、
姿の見えない脅迫者は、
5年前に失敗した難曲「ラ・シンケッタ」を弾くよう要求する。

解説と見どころ●
監督のエウヘニオ・ミラが音楽家でもあることから、
コンサートの描写に手抜きがない。
特に、イライジャ・ウッドのピアニストぶりが見事である。
ただ、音楽や芸術を追求した映画ではなく、
あくまで「謎」を追いかけるサスペンス映画。
主人公がいかに危機をかいくぐり、崖っぷちから這い上がっていくか、
謎の脅迫者の要求にどうこたえていくのか、
脅迫者の魔の手から、妻は、友人は、守られるのか。
コンサートという限られた時間と空間で行われる駆け引きで
スリル、スリルの連続を切り抜けるうち、
トムは自信を取り戻していく。
そして、本当の主人公は「グランドピアノ」。
その中に仕掛けられた知性と欲望の「キー」が、最後の最後に姿を現す。

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