仲野マリの気ままにシネマナビ online

投稿誌「Wife」に連載中の「仲野マリの気ままにシネマナビ」がWebの世界に飛び出しました!

2014年05月

「絆」と書いて「しがらみ」と読む、母娘の物語
 
8月の家族たち:メイン

©2013 AUGUST OC FILMS, INC. All Rights Reserved.

 
監督: ジョン・ウェルズ
配給: アスミック・エース
封切: 3月1日(土)ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次ロードショー

ストーリー●
父失踪の知らせを受け、実家に駆けつけた3人の娘たち。
母(メリル・ストリープ)は、がん治療で薬漬けの日々だが、
勝気は相変わらずで毒舌全開。
特に長女ベバリー(ジュリア・ロバーツ)とは寄ると触るとケンカが始まる。
ベバリーも夫と別居状態で心が落ち着かないのだ。
やがて父親の遺体発見。事故なのか、自殺なのか。
家族の秘密が、少しずつひもとかれていく。
(4月18日よりTOHOシネマズシャンテ他ロードショー)
 
みどころと解説●
結婚や子育てに行き詰り、自分のやり方や価値観が揺らぐ時がないだろうか。
母親を反面教師に独立したのに、
気がつけば「母親似」になっていることにたじろぐことが…。

母親役のメリル・ストリープの、女の業(ごう)に負けまいとする
気概と悲哀がないまぜになって押し寄せる怪物的演技には圧倒される。

しかし彼女の重低音はあくまでベースで、
仕切り屋の長女、男に惚れっぽい次女、目立たない三女の物語にこそ真実味が。
「なりたかった自分」と「なれなかった自分」が、残酷に錯綜しながら展開する。

特に注目したいのが三女アイビーだ。
実家の近くにいてくれてよかったという姉たちに、
「本当は自由になりたかった。2人が出て行ったからとどまるしかなかった」と、
本心を吐露する場面に真実味がある。
 
長い不在とカンチガイを超えて、
アイビーも自分らしい生き方を選べると思ったときに
唐突に暴露される秘密の冷酷さ。
すべてを知ってもう一度最初から見たい映画である。


8月の家族たち:サブ1
 
©2013 AUGUST OC FILMS, INC. All Rights Reserved.



BBCのクルー渾身の3D映像で
アフリカの大自然の真っただ中に身をおく!


メイン画像
(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014



監督:ニール・ナイチンゲール/パトリック・モリス
配給:東宝東和  
共同提供:東宝東和/NBCユニバーサル・エンターテイメント/WOWOW
公開:5月2日(金)TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
公式サイト:http://nature-movie.jp/



みどころと解説●
BBCのEARTHが生み出した自然体感映画は
『ディープ・ブルー』『アース』『ライフ―いのちをつなぐ物語―』と
全部観ているが、3Dは今回が初めてだ。

森林から火山、砂漠、硫酸の池、乾期の平原、海中のサンゴ礁、
5000m級の高山と凍てつく星空、めもくらむような崖から落下する滝、などなど、
普通では足を踏み入れられないところも含め、
マクロとミクロのカメラが私たちを地球の不思議さへいざなってくれる。

特に圧巻だったのは、ビッグウェイヴのチューブの中に3Dカメラが入ったとき。
私はサーフィンをやらないが、
サーファーたちはこんな水のドームの中を入り込み、
奥行のある大きな波のトンネルを楽しんでいるのだと実感した。

一日で冬と夏が入れ替わるケニア山の様子も衝撃的だ。
植物は毎晩凍り、日の出とともにその氷が解けて水となる。
なんという壮大な、生の循環だろう!

そうした厳しい自然の中で、
ただ一瞬を生きるためだけに前に進む動物たち。
命がいとおしくなる映画である。

ナビゲーターは滝川クリステル。
GWに、子どもさんを連れていくのにちょうどよい映画だと思います。

サブ3
(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
サブ2
(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
 

↑このページのトップヘ