「絆」と書いて「しがらみ」と読む、母娘の物語
監督: ジョン・ウェルズ
配給: アスミック・エース
封切: 3月1日(土)ヒューマントラスト有楽町ほか全国順次ロードショー
ストーリー●
父失踪の知らせを受け、実家に駆けつけた3人の娘たち。
母(メリル・ストリープ)は、がん治療で薬漬けの日々だが、
勝気は相変わらずで毒舌全開。
特に長女ベバリー(ジュリア・ロバーツ)とは寄ると触るとケンカが始まる。
ベバリーも夫と別居状態で心が落ち着かないのだ。
やがて父親の遺体発見。事故なのか、自殺なのか。
家族の秘密が、少しずつひもとかれていく。
(4月18日よりTOHOシネマズシャンテ他ロードショー)
みどころと解説●
結婚や子育てに行き詰り、自分のやり方や価値観が揺らぐ時がないだろうか。
母親を反面教師に独立したのに、
気がつけば「母親似」になっていることにたじろぐことが…。
母親役のメリル・ストリープの、女の業(ごう)に負けまいとする
気概と悲哀がないまぜになって押し寄せる怪物的演技には圧倒される。
しかし彼女の重低音はあくまでベースで、
仕切り屋の長女、男に惚れっぽい次女、目立たない三女の物語にこそ真実味が。
「なりたかった自分」と「なれなかった自分」が、残酷に錯綜しながら展開する。
特に注目したいのが三女アイビーだ。
実家の近くにいてくれてよかったという姉たちに、
「本当は自由になりたかった。2人が出て行ったからとどまるしかなかった」と、
本心を吐露する場面に真実味がある。
長い不在とカンチガイを超えて、
アイビーも自分らしい生き方を選べると思ったときに
唐突に暴露される秘密の冷酷さ。
すべてを知ってもう一度最初から見たい映画である。
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